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伊賀須知之稲置

読み
いがのすちのいなき
ローマ字表記
Iganosuchinoinaki
登場箇所
安寧記
他文献の登場箇所
-
始祖
後裔氏族
-
説明
 伊勢国名張郡を本拠地とした氏族。『古事記』では安寧記の系譜記事に、師木津日子命(安寧天皇の御子)に連なる氏族として名が挙げられている。『和名類聚抄』には周知(スチ)の郷名が確認でき、現在の名張郡矢川付近に比定されている。なお、始祖である「孫」(『古事記』本文では「一子孫者」)の解釈をめぐっては、大きく分けて二つの説が並立している。ひとつは「子孫」を御子と解釈する説であり、注釈によっては「孫」を衍字とするものもある。この説が正しいとすれば、伊賀須知之稲置の始祖の名は脱漏して伝わっていないことになる。もうひとつは「孫」を人名とする説であり、「ヒコ」「ウマゴ」などと訓じられる。それが後世に子孫の意と誤読されたことによって、尊称の「命(ミコト)」の字が脱漏したものと推測されている。いずれにせよ該当部分には何らかの脱漏を想定する必要があり、現時点で正否を判断することは困難といえる。
参考文献
本居宣長『古事記伝』21之巻(大野晋編『本居宣長全集』第10巻、1968年11月、初出1822年)
中貞夫『名張の歴史』上巻、第2編第1章(名張地方史研究会、1960年3月)
西宮一民編『古事記』(桜楓社、1973年)
倉野憲司『古事記全注釈』第5巻、中巻篇(上)(三省堂、1978年4月)
山口佳紀 神野志隆光校注・訳『古事記』新編日本古典文学全集1(小学館、1997年6月)

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