器物データベース > 八千矛の神

【解説】大国主神の御馬の鞍と鐙

「大国主神は片方の御手は御馬の鞍にかけ、片方の御足はその御鐙に踏み入れて」の表現から、この神話は馬具〔鞍(くら)・鐙(あぶみ)〕を装着した馬の存在を前提としていると考えられる。馬が日本列島へ伝わり、乗馬文化が定着するのは四世紀末頃から五世紀にかけてであり、五世紀には馬具は古墳の副葬品として一般化する。馬は有力者・貴人の乗り物という意識が醸成されただろう。六世紀後半になると、宗像・沖ノ島祭祀遺跡では金銅装の豪華な馬具が捧げられており、この時代までには、神が乗る馬「神馬」の考え方は成立していたことになる。馬に乗る神のイメージは、年代的には五世紀を上限とし、六世紀には定着していたのである。

倭国へ上ろうとする大国主神
(古事記学センター蔵『古事記絵伝』より)

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