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天宇受売命

読み
あめのうずめのみこと
ローマ字表記
Amenouzumenomikoto
別名
天宇受売
天宇受売神
登場箇所
上・天の石屋
上・天孫降臨
上・猿女の君
他の文献の登場箇所
紀 天鈿女命(七段本書、九段一書一)/天鈿女(七段一書三、九段一書一)
拾 天鈿女命(日神の石窟幽居、天祖の神勅、天孫の降臨、遺りたる九)
旧 天鈿女命(地祇本紀、天神本紀、皇孫本紀)
梗概
 天の石屋段では石屋にこもった天照大御神を外に招き出すため神がかりをし、諸神の笑いを誘う。また天孫降臨段では天の八衢にいた猿田毘古神の名を顕すとともに邇々芸命の随伴神の一人として登場する。さらに猿女の君段では天降りの先導をした猿田毘古神を送るとともに、その名を負って奉仕するよう命じられたため猿女君と呼ぶことになる。また同段では諸々の魚たちに天つ神御子への奉仕を誓わせ、答えなかった海鼠の口を裂いたともある。
諸説
 猿女の君等の祖。『古語拾遺』に「天鈿女命 古語、天乃於須女。其神強悍猛固。故以為名。今俗、強女謂之於須志、此縁也」と名義が説明されている。また「鈿」の字義から、神の依り代となる「髻華」(髪飾り)を挿した巫女という説もある。
 天の石屋段にて、天宇受売命は神がかりの際に胸乳を顕わにし、ホト(陰部)に緒を垂らすとある。この行為については、笑いを導くことにより自然の回生を図るものとする説、鎮魂祭儀の蘇生を目した行為とする説等があるが、いずれにしろ日神復活祭儀としての役割が重要視される。
 また、天孫降臨段の氏姓の由来は、『古事記』では女を猿女君と呼ぶとするのに対し、『日本書紀』九段一書一では男女を皆、君と呼ぶ所以としている。これは職掌としての「猿女」と管掌者の氏名「猿女君」とを混乱させたためだといわれる。天宇受売命が猿女君の名を負うのは、猿田彦の力能を奪った、もしくは継承したとする説、猿女の奉仕する姿は天皇に魂を付与する御食奉上や鎮魂祭において邪神・邪霊を撃退する意があるという説もある。
参考文献
多田元「猨女君と嶋之速贄―天宇受売命伝承の本縁ー」(『古事記年報』31号、1989年1月)
田中智樹「猨田毘古神と天宇受売命の物語」(『上代文学論究(中京大学)』13号、2005年3月)
藤澤友祥「猿女の君―『古事記』の文脈での位置づけ―」(『古事記年報』52号、2010年1月)
吉田修作「アメノウズメの〈神がかり〉・〈わざをき〉-天岩戸と天孫降臨-」(『日本文学』60巻、2011年2月)
猪股ときわ「アメノウズメの「所作の所作-『古事記』における神話的な知」(『古代文学』51、2012年3月)
井上さやか「『古事記』天石屋戸神話における天宇受売命 : 発話と露出とわらい」(『万葉古代学研究年報』15、2017年3月)

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