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道敷大神

読み
ちしきのおほかみ/ちしきのおおかみ
ローマ字表記
Chishikinoōkami
別名
伊耶那美神
黄泉津大神
登場箇所
上・黄泉の国
他の文献の登場箇所
紀 道敷神(五段一書六)
旧 道敷大神(陰陽本紀)
梗概
 伊耶那美神の別名。伊耶那岐神が黄泉国から逃げ帰る際に追い及んだことによって、こう呼ばれる。
諸説
 『古事記』の本文には、この神名を挙げて「其の追ひしきしを以て、道敷大神と号く」とその由来が明示されている。「敷」は「及」の借訓とされ、神名の名義は、道に追いついた大神の意と解される。及ぶ意のシクは仁徳記の歌に「山代に い及(し)け鳥山 い及けい及け 吾が愛し妻に い及き遇はむかも」(記・59)とある。
 『日本書紀』五段一書六では、黄泉国から帰還して二神がコトドワタシをした後に、伊耶那岐神が投げた履の神名を「道敷神」と伝えていて、伊耶那美神の別名ではなく、両者の関係も明確ではない。この出生・神格の違いから、『古事記』の「道敷大神」とは異なる解釈がなされ、神名のシキを「神ながら 太敷きまして 天皇の 敷きます国と」(万2・167)のように、領有の意と取り、この神名を、道を領有する神の意と解する説がある。
参考文献
倉野憲司『古事記全註釈 第二巻 上巻篇(上)』(三省堂、1974年8月)
西郷信綱『古事記注釈 第一巻(ちくま学芸文庫)』(筑摩書房、2005年4月、初出1975年1月)
『古事記(新潮日本古典集成)』(西宮一民校注、新潮社、1979年6月)
神野志隆光・山口佳紀『古事記注解2』(笠間書院、1993年6月)
川副武胤「大神考」(『古事記の研究』至文堂、1967年12月、初出1966年5月)
梅田徹「イザナキの黄泉国訪問と「大神」への変異―『古事記』の神代―」(『帝塚山学院大学日本文学研究』26号、1995年2月)

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