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愛比売

読み
えひめ
ローマ字表記
Ehime
別名
-
登場箇所
上・国生み神生み
他の文献の登場箇所
旧 愛比売(陰陽本紀)
梗概
 伊耶那岐神・伊耶那美神が生んだ大八島国の第二の島、伊予之二名島は、身一つに面が四つあり、その四つのうち、伊予国を愛比売といい、讃岐国を飯依比古、阿波国を大宜都比売、土佐国を建依別という。
 本文には「愛」の字の下に「上」の声注がある。
諸説
 「比売」は女性を意味する。「愛」の字は、エという発音を示していて、その意味については、兄(年長者)の意のエととり、最初の女児であることを表しているとする説や、吉の意のエととる説もあるが、古代の発音では「愛」の字はア行のエであって、兄や吉を意味するエはヤ行のエであるから不可とする批判がある。一方、ア行のエとしての解釈には、「可愛」の意のエと取り、神名を、可愛い女性、または、愛すべき女性、愛しい女性といった意味に解する説がある。その場合、「愛」の字は、発音と同時に意味も兼ねて示していると解することもできる。「愛」に付された上声の声注は、声調を示すことによって、エという発音の言葉の中でも「可愛」を意味するエであることを明確にしたものとする説がある。
参考文献
山田孝雄『古事記上巻講義 一』(志波彦神社・塩釜神社古事記研究会編、1940年2月)
倉野憲司『古事記全註釈 第二巻 上巻篇(上)』(三省堂、1974年8月)
西郷信綱『古事記注釈 第一巻(ちくま学芸文庫)』(筑摩書房、2005年4月、初出1975年1月)
『古事記(新潮日本古典集成)』(西宮一民校注、新潮社、1979年6月)
吉井巌「古事記における神話の統合とその理念―別天神系譜より神生み神話への検討―」(『天皇の系譜と神話』塙書房、1967年11月、初出1965年5月)
三谷栄一「国生み説話と淡路・四国との関係」(『記紀万葉集の世界』有精堂、1984年5月、初出1968年12月)
小松英雄『国語史学基礎論(2006簡装版)』(笠間書院、2006年11月、1973年1月初版)第4章
森浩一「古代人の地域認識」(『日本の古代 第2巻 列島の地域文化』中央公論社、1986年2月)
山口佳紀「声注の一考察―音仮名対象の声注を中心に―」(『古事記の表記と訓読』有精堂、1995年9月、初出1988年12月)
『古典基礎語辞典』(大野晋編、角川学芸出版、2011年10月)

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