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飯依比古

読み
いひよりひこ/いいよりひこ
ローマ字表記
Iiyorihiko
別名
-
登場箇所
上・国生み神生み
他の文献の登場箇所
旧 飯依比古(陰陽本紀)
播磨風 飯神(揖保郡飯盛山)
神名式 飯神社(讃岐国鵜足郡)
梗概
 伊耶那岐神・伊耶那美神が生んだ大八島国の第二の島、伊予之二名島は、身一つに面が四つあり、その四つのうち、伊予国を愛比売といい、讃岐国を飯依比古、阿波国を大宜都比売、土佐国を建依別という。
諸説
 名義は、「飯」の語から、食物に関係のある名と考えられる。「比古」は男性。「依」を依り憑く意とみて、飯の霊が依り憑く男性の意とする説がある。
 『万葉集』(2・220)柿本人麻呂の歌に「玉藻よし 讃岐の国は 国からか 見れども飽かぬ 神からか ここだ貴き 天地 日月と共に 足り行かむ 神の御面と 継ぎ来る……」と讃岐国を「神の御面」と表現した詞が見える。
 『延喜式』神名帳・讃岐国鵜足郡の「飯神社」は、現在、香川県丸亀市の飯野山の西南麓に鎮座するが、古くは頂上に鎮座したと伝わる。その祭神には、飯依比古命と、相殿の少彦名命を祀っているが、飯依比古命を『古事記』と同神とし、その神格を讃岐国の国魂とみる説がある。この神社の祭神は、『播磨国風土記』揖保郡・飯盛山条に「讃伎の国宇達(うたり)の郡、飯の神の妾は、名を飯盛の大刀自と曰ふ。この神度り来りて、この山を占めて居みき。故れ、飯盛山と名づく」と見えている。「飯の神」とあるだけなので、もともと飯依比古とは別神とする説もある。
参考文献
山田孝雄『古事記上巻講義 一』(志波彦神社・塩釜神社古事記研究会編、1940年2月)
倉野憲司『古事記全註釈 第二巻 上巻篇(上)』(三省堂、1974年8月)
西郷信綱『古事記注釈 第一巻(ちくま学芸文庫)』(筑摩書房、2005年4月、初出1975年1月)
『古事記(新潮日本古典集成)』(西宮一民校注、新潮社、1979年6月)
吉井巌「古事記における神話の統合とその理念―別天神系譜より神生み神話への検討―」(『天皇の系譜と神話』塙書房、1967年11月、初出1965年5月)
三谷栄一「国生み説話と淡路・四国との関係」(『記紀万葉集の世界』有精堂、1984年5月、初出1968年12月)
森浩一「古代人の地域認識」(『日本の古代 第2巻 列島の地域文化』中央公論社、1986年2月)
『式内社調査報告書 第二十三巻 南海道』(式内社研究会編、皇学館大学出版部、1987年10月)

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