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御倉板挙之神

読み
みくらたなのかみ
ローマ字表記
Mikuratananokami
別名
-
登場箇所
上・三貴子の分治
他の文献の登場箇所
旧 御倉板挙神(陰陽本紀)
梗概
 伊耶那岐神が、禊で三貴子を生んだ際、その御頸珠(首飾りの珠)の玉の緒を鳴るばかりにゆらし、天照大御神に高天原の統治を命じて、御頸珠を授けた。その御頸珠を御倉板挙之神という。
諸説
 神名の「板挙」の字は、『日本書紀』垂仁紀に「天湯河板挙」という人名が見え、訓注で「板挙」をタナと読ませている。御倉板挙之神の名義は、神聖な倉の棚の上に安置する神の意とされるが、「倉」については解釈が分かれる。「倉」を神宝を収める所と捉え、伊耶那岐神から授かった珠をその棚の上に安置したことによる神名とする説や、「倉」を稲魂を祭る神座あるいは稲倉と捉え、この神をウカノミタマと同等の稲魂とする説がある。また、「倉板挙」を、倉の中の棚ではなく、神座(くら)としての棚の意味ととり、その形態は、柱を立てて板を挙げ、そこに五穀や守護霊を安置して仮屋根をした程度の神座が原形とみる説がある。尊称の「御」についても、「倉」にかかるとする説と「倉板挙」にかかるとする説がある。
 御頸珠については、三種の神器や、伊耶那岐神・伊耶那美に天つ神が授けた天の沼矛と同様に、事依さし(委任)の象徴として授けられるしるしとする説や、稲魂の象徴と捉え、天照大御神が穀霊の霊能を得たことを意味するとする説がある。
参考文献
倉野憲司『古事記全註釈 第二巻 上巻篇(上)』(三省堂、1974年8月)
西郷信綱『古事記注釈 第二巻(ちくま学芸文庫)』(筑摩書房、2005年6月、初出1975年1月)
『古事記(新潮日本古典集成)』(西宮一民校注、新潮社、1979年6月)
『古事記(新編日本古典文学全集)』(山口佳紀・神野志隆光 校注・訳、小学館、1997年6月)
折口信夫「たなばたと盆祭りと」(『折口信夫全集』3巻、中央公論社、1975年11月、初出1929年7月)
折口信夫「たなばた供養」(『折口信夫全集』15巻、中央公論社、1976年11月、初出1935年7月)
折口信夫「新嘗と東歌」(『折口信夫全集』16巻、中央公論社、1976年11月、初出1953年11月)
烏谷知子「古事記上巻の玉について―誓約・天の石屋戸神話、海宮訪問神話を中心に―」(『上代文学の伝承と表現』おうふう、2016年6月、初出2009年1月)

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