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佐度島

読み
さどのしま
ローマ字表記
Sadonoshima
別名
-
登場箇所
上・国生み神生み
他の文献の登場箇所
紀 佐度洲(四段本書・一書一・六・七・八・九)
旧 佐渡州(陰陽本紀)
梗概
 伊耶那岐神・伊耶那美神の二柱が国生みで生んだ大八島国のうち、第七の島。
諸説
 現在の佐渡島(新潟県佐渡市)である。この島には、大八島国の八島の中で他の島にあるような擬人的な別名が記載されていない。これについては、元から別名が無かったとも、原本にあった記載が脱落したとも考えられ、定かでない。
 『日本書紀』の諸伝では、億岐洲(億岐三子洲)の次に生まれる伝(一書一・七・九)と、億岐洲とともに双子で生まれる伝(本書、一書六・八)とがあって、億岐洲(島根県隠岐郡の隠岐諸島)との関係が密接であるが、『古事記』では出生の順番が離れ、両島の関係性が稀薄になっていることが指摘されている。双子については、両島どうしを双子と取る解釈と、両島それぞれが双子の島だと取る解釈とがある。後者の解釈では、どちらも遠望すると二つの部分から成るように見える島であることに基づく表現とされ、両島が地理的に隔たっていながら『日本書紀』の諸伝で並立されているのは、その景観の類似に基づくものとされる。
 サドという島名の語源は、サは「狭」、ドは「門」で、「狭門」の意と考えられている。佐渡島は大佐渡と小佐渡からなり、両地形がつながって一つの島になっているが、太古に大佐渡と小佐渡が離れて海路になっていたと想定した上で、そこを通う船からの景観によって、この島名が付けられたとする説がある。ただし、考古学や地質学的な知見によれば、遡っても弥生時代頃には分断されていなかったとされる。これに対して、海上や本土から眺めた景観が、大佐渡と小佐渡が狭い海峡を隔てて対峙する様子に見えることからの命名とする説もある。
参考文献
倉野憲司『古事記全註釈 第二巻 上巻篇(上)』(三省堂、1974年8月)
西郷信綱『古事記注釈 第一巻(ちくま学芸文庫)』(筑摩書房、2005年4月、初出1975年1月)
松村武雄『日本神話の研究 第二巻』(培風館、1955年1月)第3章
山川振作「記紀「国生み」神話の考察―特に古事記の水蛭子・淡島について―」(『比較文化研究』5号、東京大学教養学部人文科学科、1965年3月)
服部旦「続「国生み神話」批判―島生みの場―」(『中央大學國文』12号、1968年10月)
岸根敏幸「古事記神話における佐度嶋をめぐって」(『福岡大学人文論叢』51巻1号、2019年6月)

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