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蒲生稲寸

読み
かまふのいなき/かもうのいなき
ローマ字表記
Kamounoinaki
登場箇所
上巻・うけい
他文献の登場箇所
-
始祖
天津日子根命
後裔氏族
-
説明
 近江国蒲生郡を本拠地とした氏族。『古事記』においては、天照大御神と須佐之男命とのうけい(誓約)によって誕生した天津日子根命の後裔氏族として、凡川内国造ら11氏とともに名が挙げられている。蒲生郡内に所在する竹田神社の社伝によれば、蒲生稲寸の支配領域は周辺の郡域を含む広大なものであったとされる。また、欽明~推古期の氏人である蒲生稲寸三麿は、社伝のなかで蒲生稲寸中興の祖として称揚され、同社には三麿を象ったとされる神像が伝えられている。同様に蒲生郡内に所在する馬見岡綿向神社の社伝においても、三麿は山部連羽咋とともに託宣を受け、同社を創建した人物とみなされている。このような伝承が蒲生郡内に残る一方で、『古事記』のほかに史料上から蒲生稲寸の活動を確認することはできず、実際に蒲生郡内で権勢を誇ったのは佐々貴山公であった。ただし、二条大路から出土した木簡には「勘富郡桐原郷□国里・勘富[  ]」と墨書されたものがあり、ここにみえる「勘富某」(カンフはカマフの訛化であるという)が蒲生稲寸の後裔であった可能性は高い。
参考文献
式内社研究会編『式内社調査報告』第12巻(皇学館大学出版部、東山道1、1981年2月)
日野町史編さん委員会編『近江日野の歴史』第1巻、自然・古代編、第2章第1節(滋賀県日野町、2005年2月)
土井通弘「滋賀竹田神社・神像二軀の制作年代について」(笠井昌昭編『文化史学の挑戦』思文閣出版、2005年3月)

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