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山田之曾富騰

読み
やまだのそほど
ローマ字表記
Yamadanosohodo
別名
久延毘古
登場箇所
上・大国主神の国作り
他の文献の登場箇所
旧 山田之曾富騰(地祇本紀)
梗概
 久延毘古の別名で、『古事記』編纂当時の呼称。少名毘古那神の正体を明かした久延毘古とは、今の山田之曾富騰である、と説明されている。
諸説
 「山田」は山の田。ソホドは、かかしの古語で、この神は、かかしの神格を持つとされる。
 平安時代の和歌にもソホヅという語形で詠まれており、藤原清輔による歌学書『奥義抄』には「そほづとは田におどろかしに立てたる人かたなり」と説明されている。和歌には、びっしょり濡れる意の動詞ソホツに掛けて詠んだ例があり、『後撰和歌集』「あけくらしまもるたのみをからせつつたもとそほづの身とぞ成りぬる」(2・268)などと見える。これにならい、ソホを「そほ降る」「そほつ」などびっしょり濡れる意のソホと同根と解し、ソホドを、雨露でずぶ濡れになりながら立っているかかしを形容した語と解する説がある。「そほちひと」や「そほびと」といった語形を語源に想定する見方もある。また、ソホを「赭」(そほ=赤色の土)の意ととり、ソホドを「赭人」として、魔除けの朱色の人形と解し、古墳の埴輪と結びつける説もある。
 『古事記』の本文には、「故、其の少名毘古那神を顕し白しし所謂る久延毘古は、今には山田のそほどぞ。」とある。「今には」(於今者)は、「久延毘古」という神話中の呼称に対して、『古事記』編纂当時の現在の呼称を指したものとされる。
 詳細は、「久延毘古」の項も参照されたい。
参考文献
西郷信綱『古事記注釈 第三巻(ちくま学芸文庫)』(筑摩書房、2005年8月、初出1976年4月)
倉野憲司『古事記全註釈 第三巻 上巻篇(中)』(三省堂、1976年6月)
『古事記(新潮日本古典集成)』(西宮一民校注、新潮社、1979年6月)
神野志隆光・山口佳紀『古事記注解4』(笠間書院、1997年6月)
松村武雄『日本神話の研究 第三巻』(培風館、1955年11月)第13章
近藤直也「墓に立つ案山子」(『祓いの構造』創元社、1982年4月、初出1978年2月)
早川孝太郎『早川孝太郎全集 第八巻 案山子のことから』(未来社、1989年2月)

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