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尾津前

読み
をつのさき/おつのさき
ローマ字表記
Otsunosaki
登場箇所
景行記・尾津の一つ松
住所
三重県桑名市多度町御衣野2222 地図を表示
緯度/経度
北緯 35°06'53.9"
東経 136°37'58.4"
説明
 倭建命が東征の帰路、尾津前の一つ松のもとに到ると、先に食事をした際に忘れた刀がそこに残っていた。そこで、一つ松を褒める歌を詠んだ。『日本書紀』には「尾津」「尾津浜」と出ている(景行天皇四十年是歳条)。
 尾津は伊勢国桑名郡尾津郷(『和名類聚抄』)に当たり、現在の三重県桑名市の多度町地域の戸津・小山・猪飼付近に比定される。この地は、現在は内陸に位置するが、「前(さき=崎)」「浜」とあるように、古代は海浜であった。倭建命の歌に「尾張に 直に向へる 尾津崎なる 一つ松」(記29番歌)とあり、海を隔てて尾張が遠望できた。
 尾津前の位置は明確でないが、比定地に関わる手がかりとして、「尾津」の地名を持つ「尾津神社」二座が『延喜式』神名帳(伊勢国桑名郡)に見える。現在、同名の神社は多度町の小山・戸津・御衣野に三社あるが、いずれが式内社に当たるかは諸説あり定かでない。御衣野の尾津神社(草薙神社)境内には、昭和十六年(1941)に三重県の史跡に指定された「日本武尊尾津前御遺跡」があり、他にも倭建命の遺跡と称される地が地域内の各所にあるが、『古事記』の伝える尾津前が実際にどこに当たるかは特定されていない。
 地図には参考として、史跡指定されている「日本武尊尾津前御遺跡」の位置を示した。
URL
備考
饗庭義門(編)『多度町史』(多度町教育委員会、1963年10月)
本居宣長『古事記伝』28(『本居宣長全集 第11巻』筑摩書房、1969年3月)
式内社研究会(編)『式内社調査報告 第七巻 東海道2』(皇学館大学出版部、1977年3月)
平凡社地方資料センター(編)『日本歴史地名大系 第24巻 三重県の地名』(平凡社、1983年5月)

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