國學院大学 「古典文化学」事業
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風木津別之忍男神
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風木津別之忍男神
読み
かざもくつわけのおしをのかみ/かざもくつわけのおしおのかみ
ローマ字表記
Kazamokutsuwakenooshionokami
別名
-
登場箇所
上・国生み神生み
他の文献の登場箇所
旧 風木津別之忍男神(陰陽本紀)
梗概
伊耶那岐・伊耶那美二神の神生みによって生まれた神。
諸説
神名の読みは、本文中、「風」をカザと訓読し「木」を音読する指示が注されているが、「木」の音読みをモととるかモクととるかで読み方が分かれ、主には、カザモツワケノオシヲとする説とカザモクツワケノオシヲとする説がある。表記に関しては様々な疑問が呈せられており、「木」という稀少な音仮名を使っていることや、訓読みと音読みとが混ざっていること、読み方の注記の「訓木以音」という形式が異様であることが問題となっている。この表記を『古事記』が参照した原資料からそのまま採用されたものと見て、その異質な表記の読みを示す必要から音注が施されたとする説がある。「訓木以音」という音注の意義については、モあるいはモクという読みを示すと同時に字面から樹木の意をも示そうとしているとする説がある。また、「木」の字について、モクという読みの説をとり、その音列が神名の上で不可分な意味単位であることを示すために、一字でモクと読める表記として「木」の字が採用されたとする説がある。
風木津別之忍男神の詳しい名義は、神名の読みが定まっていないため明らかでないが、「風」とつくことから、風にまつわる神と考えられている。神生みで初めの方に生まれた石土毘古神から風木津別之忍男神までを住居に関する神とする立場から、「風木津」をカザモツと読んで、風・持つと解し、屋根が風に吹き飛ばされないように支え、持ちこたえる意で、家屋の耐久性の表象とする説がある。「別」は男子の敬称とする説があり、「忍」は威力あるものの美称とする説や、おしなべての意とする説がある。
「別」という称号は古代の人名に見られる。「別」のつく神名の成立については、歴史上の「別」の性格とからめて論じられており、大化改新前後までに形成されていた皇子分封の思想、すなわち、『古事記』『日本書紀』で景行天皇が諸皇子に諸国郡を封じたのが「別」の起こりとしているように、「別」が天皇や皇子の国土統治を象徴するようになっていたことに基づく命名で、七世紀以後にできたものとする説がある。一方、大化以前の実在の姓や尊称という見方を否定し、ワクという分治の意味の動詞から発して、天皇統治の発展段階にふさわしい称号として採用、ないし創作されて伝承上の神名や人名に対して附加されたものと見なし、『古事記』の編集理念に基づいた称号体系の一環と考える説もある。
参考文献
倉野憲司『古事記全註釈 第二巻 上巻篇(上)』(三省堂、1974年8月)
西郷信綱『古事記注釈 第一巻(ちくま学芸文庫)』(筑摩書房、2005年4月、初出1975年1月)
『古事記(新潮日本古典集成)』(西宮一民校注、新潮社、1979年6月)
神野志隆光・山口佳紀『古事記注解2』(笠間書院、1993年6月)
佐伯有清「日本古代の別(和気)とその実態」(『日本古代の政治と社会』吉川弘文館、1970年5月、初出1962年1~3月)
川副武胤「「日子」(二)「国」「倭」「別」の用法」(『古事記の研究』至文堂、1967年12月)
小松英雄『国語史学基礎論(2006簡装版)』(笠間書院、2006年11月、1973年1月初版)第3章
香用比売
葛城之一言主之大神
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