本事業は、國學院大學で継続されてきた神道と日本文化の国学的研究の根幹にある『古事記』を、学際的・国際的観点から再検討し、その成果を国内外へ発信することを目的としている。その目的の下に、日本の歴史と伝統文化および自国と異文化との多様性を体現する拠点を形成し、グローバル社会に寄与しうる人材を育成する。このように、学内はもとより広く社会に研究成果を還元することで、國學院大學の建学の精神の具現化を目指す。
明治15年設立の皇典講究所を母体とする本学は、近世国学を淵源とする総合的文化研究により、神道と日本文化に関する学知を蓄積・発信してきた。平成14年には21世紀COEプログラム、19年にはオープン・リサーチ・センター整備事業に採択され、「神道と日本文化の国学的研究発信の拠点」として認知されている。さらに25年度より全学的事業として『古事記』の学際的・国際的研究に着手し、『古事記』の独自性と普遍性を明確化することで、世界のなかに『古事記』を位置づけ、その基底にある人類文化の共通性・多様性の把握を目指す先鋭化した研究を「古事記学」と題して推進している。 本事業では國學院大學(以下、本学)において創立以来130年以上にわたり継承されてきた学知に基づく学際的・国際的観点から『古事記』を再定位し、本学独自の「古事記学」の見地による、21世紀の『古事記伝』となる注釈書を編纂して、その研究成果を国内外に発信し、なおかつ教育へと還元するシステムを構築する。そして『古事記』に立脚し日本文化の新たなる創造と発展に寄与する世界的な研究拠点となることが目的である。