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天金山

読み
あめのかなやま
ローマ字表記
Amenokanayama
登場箇所
上巻・天の石屋
住所
宮崎県都城市安久町 地図を表示
緯度/経度
北緯 31°39'51.0"
東経 131°04'48.5"
説明
 天石屋段にて、天石屋に籠もった天照大御神を呼び出す祭祀を行うに際し、祭器具作成のための鉄を採取した地。天の安河の川上の天の堅石を採り、天金山の鉄を採り、鍛人天津麻羅(あまつまら)を探し出し、伊斯許理度売命(いしこりどめのみこと)に鏡を作らせたことが見える。「天」は高天原・天上世界の存在であることを示す。「金」は「カネ」であり金属の総称と解釈され、黄金のことではないとされる。「金山(カナヤマ)」は鉱山を意味し、ここでは「鉄」を採取したことから鉄山を指すとされる。また、「天の安河の川上の天の堅石」は、鍛鉄の際の金床の石とするために採取したとする説がある。
 『日本書紀』神代上第七段一書第一では「天香山」の金を採り日矛を作ったとあり、『古語拾遺』では「天香山」の銅を採り日像の鏡を鋳造したとされる。このように『日本書紀』『古語拾遺』では、祭器具作成のための鉄鉱石を採取した地が「天香山」となっており、カナヤマがカグヤマに転訛した結果と解釈する説がある。ただし、鉄を採取したのが「天香山」であったとしても、あくまで天上世界の「天香具山」でのことであり、大和の「天香具山」で鉄が産出したことを示すものではないとされる。『先代旧事本紀』では、「天金山」の銅を採り日矛を鋳造したとあり、『古事記』『日本書紀』『古語拾遺』の内容を折衷した記述となっている。
 伝承地としては、宮崎県都城市安久町の「金御岳(かねみだけ)」がある。地図上に示したのは「金御岳」山頂の金御岳公園であり、展望台からは都城盆地を望むことができる。
URL
備考
本居宣長『古事記伝』8(『本居宣長全集 第9巻』筑摩書房、1968年7月、初出1822年)
倉野憲司『古事記全注釈 第三巻 上巻篇(中)』(三省堂、1976年6月)
西郷信綱『古事記注釈 第二巻』(ちくま学芸文庫、筑摩書房、2005年6月、初出1975年1月)

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