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都怒山臣

読み
つのやまのおみ
ローマ字表記
Tsunoyamanoomi
登場箇所
孝昭記
他文献の登場箇所
続紀  神亀元年(724)2月壬子(22日)条(君姓)
三実  貞観5年(863)正月8日辛未条(公姓)
始祖
天押帯日子命
後裔氏族
-
説明
 ワニ系氏族のひとつ。都怒山は角山とも書く。『古事記』では、孝昭天皇の長男である天押帯日子命の後裔氏族として、春日臣ら15氏族とともに掲げられている。都怒山臣の具体的な活動は史料上から確認できないが、君(公)姓の角山君は散見し、両氏は同族関係にあったものと考えられる。長承2年(1133)7月12日付「明法博士中原明兼勘注」(『平安遺文』5-2281)には、天平12年(740)に角山君家足が小野石根に高嶋郡の墾田を寄進したことが記されており、この家足は藤原仲麻呂が近江に逃れた際に迎え入れた高嶋郡前少領「角家足」と同一人物と考えられている。高嶋郡に角野郷が存在すること(『和名類聚抄』)や、同郡に津野神社が鎮座すること(「延喜式神名帳」)から、近江国高嶋郡に都怒山臣の本拠地があったと推測されている。またウヂ名が「ツノ(都怒・角・津野)」+「山君」と構成されていることから、ツノの地の山林を管理し、木材の供給や鉄生産を通じて倭王権に奉仕していたことが指摘されている。なお同族のうち比較的高位に昇った人物としては、神亀元年(724)に外従五位下に叙された角山君内麻呂、貞観5年(863)に同じく外従五位下に叙された角山公成子がいる。
参考文献
「角家足」(竹内理三・山田英雄・平野邦雄編『日本古代人名辞典』第4巻、吉川弘文館、1963年7月)
大橋信弥「近江における和邇系氏族の研究―小野臣・角山君・近淡海国造―」(『日本古代の王権と氏族』吉川弘文館、1996年1月、初出1992年5月)
加藤謙吉「山背・近江とその他の諸国のワニ系諸氏」(『ワニ氏の研究』雄山閣、2013年9月)
生田敦司「春日臣同族氏と一祖多氏系譜」(『記紀氏族伝承の基礎的研究』和泉書院、2021年5月、初出2002年3月)

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