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【解説】フツノミタマ

石上神宮では、フツノミタマは祟りがあるため禁足地に埋め納めたと江戸時代まで伝えられてきた。明治七年、その禁足地のほぼ中央から出土した鉄刀は、中国の漢帝国に由来する「素環頭内反大刀(そかんとううちぞりたち)」である。年代は二世紀から三世紀代と推定でき、古墳時代の初頭、日本列島にもたらされた優れた鉄刀であったと考えられる。この長大な鉄刀は、人間の首や手足を瞬時に切断でき、その鋭利さに当時の人々は特別な働きを直観したはずである。この直観に、刀そのものを神とする「フツノミタマ」の本質がある。日本列島で倭国が成立しようとしていた三世紀、列島にもたらされた優れた銅鏡や鉄刀は、当時の最先端の技術や文化を象徴するものであり、そのイメージは、記紀の宝鏡や神剣につながっていったのである。

畝火の白檮原宮
(古事記学センター蔵『古事記絵伝』より)

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