器物データベース 凡例
古事記では天の石屋の神話を祭祀の起源として語っている。そこでは、祭祀に先立ち、鹿の骨を焼き神意を占い、鍛冶の天津麻羅を招いて鉄製品を作り、伊斯許理度売命に命じて鏡を作らせ、玉祖命に命じて八尺の勾玉を作っている。そして、鏡・玉と布(白幣・青幣)を榊に付けて捧げている。ここからは、鏡・玉・布、鉄製品を祭祀に先立ち準備し、神へと捧げる祭祀の構成が復元できる。これは、五世紀代の祭祀遺跡から推定できる祭祀の構成と共通する。また、鹿の肩甲骨を焼き神意を占う卜骨(ぼっこつ)の伝統は、弥生時代中期(紀元前四世紀頃)まで遡る。天の石屋が語る祭祀の起源神話には、弥生時代から古墳時代にかけて展開した祭祀の複数の要素が組み込まれていた可能性が高いだろう。
諸神による鏡・玉の作製 (古事記学センター蔵『古事記絵伝』より)
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