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天一根

読み
あめひとつね
ローマ字表記
Amehitotsune
別名
女島
登場箇所
上・国生み神生み
他の文献の登場箇所
旧 天一根(陰陽本紀)/姫嶋(陰陽本紀)/女嶋(陰陽本紀)
梗概
 伊耶那岐・伊耶那美二神の国生みにおいて生まれた。大八島国生みのあとに記される六島生みのなかに登場する女島の別名。
諸説
 神名の「天」の読みについては、「訓天、如天」という訓注があるが、アメという読みに取る説とアマという読みに取る説がある。
 名義は、「根」を根底の意味とし、広い海洋の中にただ一つ根を張っている孤島の意とする説がある。また、「根」は根元、「天」は天空に接して見えることによる命名と取り、天に接する一つの根元という意に解する説もある。伊岐島の別名が天比登都柱であるのと、命名に共通性が窺われる。また、他の島の神名に比べて、人体化された命名でないことも指摘されている。
 女島は今の大分県国東半島の東北にある姫島に比定される。姫島は、瀬戸内海西端、周防灘にある孤島で、瀬戸内海・豊後水道・関門海峡の各所から海上交通の目標となる。
 女島を含む六島は瀬戸内海航路として、また遣唐使の寄港地として重要なものが選ばれていることが指摘されており、六島が国生み神話に含まれるのは遣唐使の旅の安全を神話によって保障する意図があったとする説がある。
参考文献
倉野憲司『古事記全註釈 第二巻 上巻篇(上)』(三省堂、1974年8月)
西郷信綱『古事記注釈 第一巻(ちくま学芸文庫)』(筑摩書房、2005年4月、初出1975年1月)
『古事記(新潮日本古典集成)』(西宮一民校注、新潮社、1979年6月)
『古事記(日本思想大系)』(青木和夫・石母田正・小林芳規・佐伯有清校注、岩波書店、1982年2月)
神野志隆光・山口佳紀『古事記注解2』(笠間書院、1993年6月)
『古事記(新編日本古典文学全集)』(山口佳紀・神野志隆光 校注・訳、小学館、1997年6月)
三矢重松「古事記に於ける特殊なる訓法の研究」(『国文学の新研究』中文館書店、1932年12月)
吉井巌「古事記における神話の統合とその理念―別天神系譜より神生み神話への検討―」(『天皇の系譜と神話』塙書房、1967年11月)
小松英雄『国語史学基礎論(2006簡装版)』(笠間書院、2006年11月、1973年1月初版)第3章
荻原千鶴「六嶋生み神話の形成と遣唐使」(『日本古代の神話と文学』塙書房、1998年1月、初出1977年8月)
岸根敏幸「『古事記』神話と『日本書紀』神話の比較研究―特に別天つ神、神世七代、および、国生みをめぐって―」(『福岡大学人文論叢』44巻4号、2013年3月)
勝俣隆「古事記の国生み神話では、なぜ長崎県の領域が大きな位置を占めているのか。」(『上代日本の神話・伝説・万葉歌の解釈』おうふう、2017年3月、初出2016年7月)

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