國學院大学 「古典文化学」事業
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波邇夜須毘売神
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波邇夜須毘売神
読み
はにやすびめのかみ
ローマ字表記
haniyasubimenokami
別名
-
登場箇所
上・国生み神生み
他の文献の登場箇所
紀 埴安神(五段一書六)/埴山姫(五段一書二・三)/埴山媛(五段一書四)
旧 埴安姫(陰陽本紀、神祇本紀)/埴山姫神(陰陽本紀)/埴安姫神(陰陽本紀)
神名式 畝尾坐健土安神社(大和国十市郡)/波爾移麻比弥神社(阿波国美馬郡)
祝 埴山姫(鎮火祭)
梗概
伊耶那美神が迦具土神を生み、陰部を焼かれて病み臥した際に生まれた神々(金山毘古神・金山毘売神・波邇夜須毘古神・波邇夜須毘売神・弥都波能売神・和久産巣日神)のうち、屎(くそ)から成った神で、波邇夜須毘古神と対偶をなす。
諸説
伊耶那美神が病み臥した際に嘔吐物・排泄物から生まれた神々の意義については主に、火山の噴火を表わすとする説、焼畑など農耕の反映とする説、五行思想の影響とする説、鎮火の伝承に由来するという説、香具山の祭祀に基づくとする説がある。『日本書紀』の各所伝との構想の相異も問題となり、それらの理解のしかたによって各神名の解釈にも幅が生じている。また、神生みの段で伊耶那岐神・伊耶那美神の生んだ神々の誕生が「生める」と表現されるのに対して、これらの神々は「成れる」として物から成ったことが示されており、二神が生んだ神々の数として示された「参拾伍神」の内には含まれないとする見方がある。
名義は、「波邇夜須」をハニ・ネヤスと解し、埴(はに。土器などの材料となる粘土)を練って柔らかくする(ねやす)ことの意とする説がある。従って、この神の性格は、土器などの製作に関わる粘土の神とする説や、『日本書紀』(五段一書六)に「土神を埴安神と号す」とあることから粘土に限らず土一般の神とする説とがある。出生のもとになった火神との関係は土器を焼き固めることに求められ、屎から生まれるのは、ねやした埴が屎と似ていることからの連想とする説がある。一方、ネヤスの語がネル(捏)から出たものとすると、その核となるネが略されては意味を成さないとして、ヤスをネヤスと同一視するのを疑問とする意見もある。他に、ヤスを「安」の意に取り、尿から生まれた弥都波能売神と合わせて下肥の表象と捉え、土壌を安定させる神とする説や、当該条の神々の誕生を火山の噴火現象に見立てて、熔泥の流出の表象とする説もある。
香具山との関連も窺われ、『延喜式』神名帳・大和国十市郡に、香具山の麓に鎮座する「畝尾に坐す健土安神社」が見える。『日本書紀』神武天皇即位前紀(己未年二月)に、天皇が前年、天香山の埴土を取って八十平瓮を作って諸神を祭り、やがて天下を安定させることができたので、その土を取った処を「埴安」と云う、とあり、迦具土神や同時に生まれた金山毘古神・金山毘売神とともに香具山との祭祀的なつながりが注目されている。
『日本書紀』五段一書二・三・四では「埴山姫(媛)」が生まれており(一書四では大便から生まれたとある)、男神は現れていない。一書六では伊奘諾尊と伊奘冉尊の神生みによって「埴安神」が生まれている。鎮火祭祝詞にも「埴山姫」の名が見える。
参考文献
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西郷信綱『古事記注釈 第一巻(ちくま学芸文庫)』(筑摩書房、2005年4月、初出1975年1月)
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『式内社調査報告書 第三巻 京・畿内3』(式内社研究会編、皇学館大学出版部、1982年10月)
『式内社調査報告書 第二十三巻 南海道』(式内社研究会編、皇学館大学出版部、1987年10月)
虎尾俊哉『延喜式 上(訳注日本史料)』(集英社、2000年5月)
松岡静雄『記紀論究 神代篇 創世記』(同文舘、1931年2月)
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金子武雄「万物の創成」(『古事記神話の構成』南雲堂桜楓社、1963年10月)
守屋俊彦「火神出生神話の序列」(『記紀神話論考』雄山閣、1973年5月、初出1965年9月)
青木紀元「火の神―鎮火祭の祝詞を中心に―」(『日本神話の基礎的研究』風間書房、1970年3月、初出1967年11月)
野口武司「『古事記』神生みの段の左註「神參拾伍神」」(『古事記及び日本書紀の表記の研究』桜楓社、1978年3月、初出1974年6・8・10月)
毛利正守「古事記上巻、島・神生み段の「参拾伍神」について」(『国語国文』45巻10号、1976年10月)
菅野雅雄「豊宇気毘売神の出現」(『菅野雅雄著作集 第三巻 古事記論叢3 成立』おうふう、2004年5月、初出1977年6月)
西宮一民「「神参拾伍神」考」(『古事記の研究』おうふう、1993年10月、初出1992年4月)
毛利正守「古事記上巻、岐美二神共に生める「嶋・神参拾伍神」考」(『萬葉』144号、1992年9月)
青木周平「伊耶那美命化成の表現」(『青木周平著作集 上巻 古事記の文学研究』おうふう、2015年3月、初出1992年12月)
波邇夜須毘古神
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