國學院大学 「古典文化学」事業
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久々能智神
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久々能智神
読み
くくのちのかみ
ローマ字表記
Kukunochinokami
別名
-
登場箇所
上・国生み神生み
他の文献の登場箇所
紀 句句廼馳(五段本書・一書六)
旧 句々迺馳(陰陽本紀)
祝 屋船久久遅命(大殿祭)
梗概
伊耶那岐・伊耶那美二神の神生みによって、風の神・山の神・野の神と共に生まれた木の神。
諸説
久々能智神の名義は、ククを、茎の意と取る説と、「木木」の古形と取る説とがある。ノは助詞、チはヲロチ・イカヅチなどのチと同じとされ、精霊の意、あるいは霊力あるものの尊称などとされる。
茎の意のククは、『万葉集』の東歌に「佐野のククタチ折り生やし」(14・3406)、「伎波都久の岡のククミラ我摘めど」(14・3444)とあって、それぞれ「茎立」「茎韮」と解されている。『和名類聚抄』に「■(艹+豊) 唐韻云―〈音豊。久々太知。俗用「茎立」二字〉。蔓菁苗也」とあってククに「茎」の字を用いた例が知られる。正倉院文書にも「茎立」の表記が見える(続修後集十・上山寺悔過所銭用帳)。茎のある植物をククといい、ここでは木のことを指すと説かれるが、木の幹を茎とは言わないという批判もある。
一方、「木木」の古形とする説は、木をクというのはクダモノ(木の物)のクに同じであると説かれるが、久々年神・久々紀若室葛根神の神名解釈との整合性から、「木木」とは解しがたいという批判もある。
『日本書紀』五段本書には「木の祖、句句廼馳(くくのち)」とあり、一書六には「木神等を句句廼馳と号す」とある。
また、類似の神として、大殿祭祝詞に「屋船久久遅命〈是は木の霊なり〉」が見える。「屋船」は家屋全体をふね(槽、容器)に見立てた語とする説があり、家屋の神として祭られていることによる称と捉えられている。この神は、御殿の木材の神格化とする説があるが、また、山の神を祭って伐り出した材で造った神聖な柱、忌柱(いみばしら)に宿った神で、樹木の神ククノチを家屋の柱に移して家屋の神として祭ったものと捉える説もある。
参考文献
倉野憲司『古事記全註釈 第二巻 上巻篇(上)』(三省堂、1974年8月)
西郷信綱『古事記注釈 第一巻(ちくま学芸文庫)』(筑摩書房、2005年4月、初出1975年1月)
『古事記(新潮日本古典集成)』(西宮一民校注、新潮社、1979年6月)
『日本書紀 上(日本古典文学大系)』(坂本太郎 他 校注、岩波書店、1967年3月)
松前健「木の神話伝承と古俗」(『松前健著作集』第12巻、おうふう、1998年9月、初出1980年3月)
青木紀元『祝詞全評釈』(右文書院、2000年6月)
久々年神
櫛石窓神
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