國學院大学 「古典文化学」事業
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闇御津羽神
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闇御津羽神
読み
くらみつはのかみ
ローマ字表記
Kuramitsuhanokami
別名
-
登場箇所
上・伊耶那美命の死
他の文献の登場箇所
紀 闇罔象(五段一書六)
旧 闇罔象(陰陽本紀)
梗概
伊耶那美神が迦具土神を生んだことによって神避りし、伊耶那岐神が迦具土神の頸を斬った際、刀の柄に集まった血が手の股から漏れ出て成った二神(闇淤加美神・闇御津羽神)の第二。
諸説
闇淤加美神と同時に化成し対をなす。書紀では剣の頭から滴る血から闇龗(くらおかみ)・闇山祇(くらやまつみ)と共に成り、「闇罔象」と書く。クラは谷の意。ミツハは弥都波能売神(書紀は罔象女)のミツハと同じで水の神。書紀の「罔象」の字は水の精を表わす。
刀の血から化成したのは、刀剣による火伏せの思想で、刀剣の霊気が雲となって水を呼ぶ信仰の反映とする説がある。
また、火神の血から渓谷の水の神が成ったことの問題について、血と水との液体としての連想が説かれたり、この段の神々の生成が刀剣の製造工程を表わすものとして、刀鍛冶でそそぐ水の表象とする説があり、また、伊耶那美神が振り下ろした刀が地面に切り込まれて渓谷を成し、そこに迦具土神の血が流れて河川を成した所から渓谷の水の神となったとし、中国の盤古神話で血液が河川になった話と引き比べて、迦具土神が、火神である以上に自然を表象する原始巨人のイメージを持っていたために、血液が河川に相当するという観念が先行したとする説がある。
参考文献
倉野憲司『古事記全註釈 第二巻 上巻篇(上)』(三省堂、1974年8月)
西郷信綱『古事記注釈 第一巻(ちくま学芸文庫)』(筑摩書房、2005年4月、初出1975年1月)
『古事記(新潮日本古典集成)』(西宮一民校注、新潮社、1979年6月)
勝俣隆「火の神迦具土神から生まれた水の神闇淤加美神・闇御津羽神」(『上代日本の神話・伝説・万葉歌の解釈』おうふう、2017年3月、初出2009年12月)
闇淤加美神
闇山津見神
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