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走水海

読み
はしりみづのうみ/はしりみずのうみ
ローマ字表記
Hashirimizunoumi
登場箇所
景行記・弟橘比売命
住所
神奈川県横須賀市走水2丁目11−5 地図を表示
緯度/経度
北緯 35°15'41.5"
東経 139°43'52.1"
説明
 東征中の倭建命が、相模国から更に東に向かうため走水海(はしりみづのうみ)を渡ろうとしたが、その海峡の神によって妨げられ、船を先に進めることができなかった。そこで、倭建命の后の弟橘比売命が身を挺して海の中に入ったことで、進むことができた。『日本書紀』には、日本武尊(倭建命)が海を望んで「是小海のみ。立跳(たちはしり)にも渡りつべし」と言ったところ、海の途中で暴風が起こったとあり、同様の事跡を受けて「故、時人、其の海を号けて馳水(はしりみづ)と曰ふ」とある。
 走水海は東京湾口の浦賀水道を指す。相模から上総へと渡る交通路であるが、往古の古東海道の経路であったと推定される。
「走水」という地名は、奈良時代の文献に相模国御浦郡走水郷の地名が見え(正倉院文書「相模国封戸租交易帳」)、今の神奈川県横須賀市走水に当たる。当地には現在、日本武尊(倭建命)と弟橘媛命を祭る走水神社が鎮座し(明治期に弟橘媛命を祭る橘神社を合祀)、境内に両祭神の顕彰碑が建てられている。倭建命が村人に授けた冠を祭ったことが創祀と伝えるほか、倭建命にまつわる在地独自の伝承が伝わっている。
 走水という名称の由来について、上記の『日本書紀』の伝承によれば「立ち跳り」という言挙げが由来になっていると解されるが、潮流の急激であることに由来するという説もある。また、当地で湧き水が豊富に出ることに由来するという説もある。
URL
備考
本居宣長『古事記伝』27(『本居宣長全集 第11巻』筑摩書房、1969年3月)
楠原佑介・桜井澄夫・柴田利雄・溝手理太郎(編)『古代地名語源辞典』(東京堂出版、1981年9月)
平凡社地方資料センター(編)『神奈川県の地名』(日本歴史地名大系14、平凡社、1984年2月)
「角川日本地名大辞典」編纂委員会(編)『角川日本地名大辞典 14 神奈川県』(角川書店、1984年6月)
角川文化振興財団(編)『古代地名大辞典』(角川書店、1999年3月)
横須賀市(編)『新横須賀市史 別編 民俗』(横須賀市、2013年6月)

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