國學院大学 「古典文化学」事業
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火須勢理命
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火須勢理命
読み
ほすせりのみこと
ローマ字表記
Hosuserinomikoto
別名
-
登場箇所
上・邇々芸命の結婚
他の文献の登場箇所
紀 火闌降命(九段本書、十段本書)/火酢芹命(九段一書二・六・八、十段一書一・二・三・四)/火進命(九段一書三・五)
姓 火闌降命(右京神別下、大和国神別、摂津国神別、和泉国神別)/富須洗利命(大和国神別)/富乃須佐利乃命(山城国神別)
梗概
邇々芸命の子で、木花之佐久夜毘売との間に生んだ三神の第二。木花之佐久夜毘売が火をつけた殿の中に入って出産し、火の盛んに燃える時に産まれた。
諸説
火の中で誕生した三兄弟の第二子。『日本書紀』の諸伝では、「火闌降命(ほのすそりのみこと)」「火酢芹命(ほのすせりのみこと)」「火進命(ほのすすみのみこと)」とあるが、第一子とする伝と第二子とする伝とが混在する。兄弟とともに、火の中で生まれたことに関する神名と解されている。『古事記』では、三柱をまとめて、火が盛んに燃える時に生んだ子だと記しているが、『日本書紀』九段一書五には、火が初めに明るくなったときに生まれ出た子が火明命、火が盛んな時に生まれ出た子が火進命、火の衰えた時に生まれ出た子が火折尊だと記されており、『古事記』の火照命・火須勢理命・火遠理命という神名も、それになぞらえ、火が照りはじめ、勢いを増し、衰える、という火のそれぞれの状態を象徴した神名と解されている。ただし、九段一書二では、焰が初めに起こる時に火酢芹命が生まれたとある。「須勢理」は、勢いのままに進むことの意と解され、「火須勢理」は、火が盛んに燃え進む意、火が明るく燃え盛る意などとする説がある。
『古事記』では「火照命」が「隼人の阿多君が祖」とされ、弟の火遠理命と争うが、『日本書紀』では、火闌降命が「隼人等の始祖」(九段本書)、「吾田君小橋等が本祖」(十段本書)とされ、また、十段のいずれの伝でも、弟神と争う兄神が火闌降命(及びその同類の神名)になっている。『新撰姓氏録』でも、阿多隼人・大角隼人が『日本書紀』と同様、火闌降命を祖としており、その他、様々な氏族が『新撰姓氏録』にこの神の後裔として記録されている。
参考文献
西郷信綱『古事記注釈 第四巻(ちくま学芸文庫)』(筑摩書房、2005年10月、初出1976年4月)
倉野憲司『古事記全註釈 第四巻 上巻篇(下)』(三省堂、1977年2月)
『古事記(新潮日本古典集成)』(西宮一民校注、新潮社、1979年6月)
松村武雄『日本神話の研究 第三巻』(培風館、1955年11月)第十六章
梅沢伊勢三「火照命考」(『続記紀批判』創文社、1976年3月、初出1974年9月)
辺津那芸佐毘古神
火照命
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