國學院大学 「古典文化学」事業
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大屋毘古神
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大屋毘古神
読み
おほやびこのかみ/おおやびこのかみ
ローマ字表記
Ōyabikonokami
別名
-
登場箇所
上・国生み神生み
上・根の堅州国訪問
他の文献の登場箇所
旧 大屋比古神(陰陽本紀)/大屋彦神(地祇本紀)
梗概
伊耶那岐・伊耶那美二神の神生みによって生まれた神。
また、大国主神の根堅州国の訪問段では、大国主神を八十神の迫害から逃がすため、母神の刺国若比売が木国(紀伊国)にいたこの神のもとへ逃れさせる。八十神に追いつかれると、大屋毘古神は大国主神を木の股から脱出させ、根堅州国の須佐之男命のもとに趣くよう指示した。
諸説
岐美二神の神生みの段の「大屋毘古神」と、大国主神の根堅州国の訪問の段の「木国の大屋毘古神」とは、同じ神とする説と別の神とする説がある。
名義は、「大」は美称、「屋」は屋根と捉え、神生みの段の初めの方に生まれた石土毘古神から風木津別之忍男神までを、住居に関する神々とする立場から、屋根が完成して住居ができあがったことを表すとする説や、木で作られた建物としての家屋の神と捉え、大国主神の段での「木国(きのくに)の大屋毘古神」という呼称の関連から、木の繁茂する紀伊国の土着の信仰神と想定する説がある。一方、神生みの初めの方に生まれた神々を住居に関わる神々とする説に対しては、国生みから神生みへ移るという展開の上に、住居の神を位置付けることの妥当性を疑問視する意見もある。そこで、神生みで誕生した他の神々と同様に、これらも自然に関する神々と考える説がある。
この神が「木国」の神として出てくることは、大国主神の神話中のこの段が「大き樹を切り伏せ」「矢を茹めて其の木に打ち立て」「其の木を析きて取り出して活け」と木が題材に取られていることに関わると考えられる。また、キ(乙類)がオクツキ(墓)やアラキ(殯)のキ(乙類)への連想を伴うという見方により、根の国への入り口が木国の大屋毘古神と結びついているとする説がある。
しかし、この神自体には木の神としての性格がはっきり窺われず、神名からも木の神というよりは家屋の神と考えられることから、この神がなぜ木の国の神として登場するのか、疑問が呈せられている。そこで、国作りを始めるまでの大国主神の神話には、宮殿造営が主題に含まれており、各所にその要素が取り込まれる形でこの一連の神話が成り立っているとの見方から、単なる木の神ではなく家屋の神として大屋毘古神がここに要請されたとする考察が行われている。
また、この神を『日本書紀』で素戔嗚尊の子とされる五十猛神と同神とする説がある。八段一書四に、大八洲国に樹種を撒いて樹木を茂らせた「有功の神」として紀伊国に鎮座するとあり、同じく一書五には、妹の大屋津姫命・枛津姫命と共に三神で木種を分布した功が称えられ、紀伊国に移されたとあり、併せて素戔嗚尊が熊成峰から根国に入ったことが記されている。両者が同一と考えられることは、共に木にまつわる神であることをはじめ、五十猛命が大屋毘古神と同様に素戔嗚尊の近親であり、妹に大屋津姫命という類似の神名が見えることや、鎮座地が同じく紀伊国であることなど、共通の要素が見られることから推測されている。『先代旧事本紀』にも「五十猛神 亦云大屋彦神」とあるのが注意されるが、根拠は不明である。『延喜式』神名帳・紀伊国名草郡には、かの兄弟三神にあたる「伊太祁曾神社」「大屋都比売」「都麻都比売神社」が見え、いずれも名神大社に列している。三社は『続日本紀』大宝二年二月己未条に「伊太祁曾・大屋都比売・都麻都比売の三の神社を分ち遷す。」とあるのが初見で、もと一社であったのを分祀したとされる。
参考文献
山田孝雄『古事記上巻講義 一』(志波彦神社・塩釜神社古事記研究会編、1940年2月)
倉野憲司『古事記全註釈 第二巻 上巻篇(上)』(三省堂、1974年8月)
倉野憲司『古事記全註釈 第三巻 上巻篇(中)』(三省堂、1976年6月)
西郷信綱『古事記注釈 第一巻(ちくま学芸文庫)』(筑摩書房、2005年4月、初出1975年1月)
西郷信綱『古事記注釈 第三巻(ちくま学芸文庫)』(筑摩書房、2005年8月、初出1976年4月)
『古事記(新潮日本古典集成)』(西宮一民校注、新潮社、1979年6月)
神野志隆光・山口佳紀『古事記注解2』(笠間書院、1993年6月)
虎尾俊哉『延喜式 上(訳注日本史料)』(集英社、2000年5月)
松前健「伊太祁曽神社」(『松前健著作集第3巻 神社とその伝承』おうふう、1997年12月、初出1986年3月)
越原良忠「伊太祁曾三神分遷に関する一試考」(『古代史の研究』11号、2004年9月)
村山直子「五十猛命の神話の意義」(『学習院大学上代文学研究』30、2005年3月)
谷口雅博「木国の大屋毘古神」(『古代文学』48号、2009年3月)
奥重視「紀の國の原点 木の神・緑化の神「五十猛命」」(『季刊悠久』124号、2011年3月)
大物主神
大山咋神
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