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墨坂神

読み
すみさかのかみ
ローマ字表記
Sumisakanokami
別名
-
登場箇所
崇神記・神々の祭祀
他の文献の登場箇所
紀 墨坂神(崇神紀九年三月)
梗概
 崇神記で、疫病を鎮めるために祭った諸神の一柱で、宇陀に鎮座する。赤色の楯と矛を奉った。
諸説
 『古事記』には、この神を祭った理由は明示されていないが、『日本書紀』には、崇神天皇が夢告を受けて、その教えの通り、赤盾八枚・赤矛八竿で墨坂神を祭り、黒盾八枚・黒矛八竿で大坂神を祭ったことが記されている(崇神紀九年三月十五日条)。
 墨坂は、大和と伊勢を結ぶ、大和の東側の要路である。この祭祀は、疫病の侵入を防ぐためにその境界の神を祭ったと考えられる。疫神や魔の侵入を防ぐために集落の境界にしめ縄を張るカンジョウ(カンジョウカケ、ミチキリ、ツナカケとも)という民間行事や、疫病を防ぐために大神神社・狭井神社で行われる鎮花祭という国家祭祀と性格の共通性が考えられている。また、この記事はこうした年中行事に基づいて構成された説話で、史実を示すものではないと捉える説もある。
 雄略紀七年七月条には、天皇が三諸岳の神を見たいので捕えてくるよう、臣下の少子部連蜾蠃に命じた話が出ているが、三諸岳の神でなく、大物主神、または菟田(うだ)の墨坂神とする別の伝えもあったことが本文に注記されている。この話では捕えた神が雷神であったことから、墨坂神にも雷神としての性格があるのではないかとも想定されている。
 奈良県宇陀市榛原萩原に「墨坂神社」があるが、鎮座地が移動した経緯などもあり、崇神記の墨坂神との関係は詳らかでない。
参考文献
倉野憲司『古事記全註釈 第五巻 中巻篇(上)』(三省堂、1978年4月)
『古事記(新潮日本古典集成)』(西宮一民校注、新潮社、1979年6月)
西郷信綱『古事記注釈 第五巻(ちくま学芸文庫)』(筑摩書房、2005年12月、初出1988年8月)
『日本書紀(1)(小学館新編日本古典文学全集)』(小島憲之 他 校注・訳、小学館、1994年4月)
泉谷康夫「崇神紀の三輪伝承について」(『日本文化史論叢』柴田実先生古稀記念会、1976年1月)
前田晴人「古代国家の境界祭祀とその地域性」(『日本古代の道と衢』吉川弘文館、1996年2月、初出1981年6・8月)
『日本の神々―神社と聖地 第四巻 大和』(谷川健一 編、白水社、1985年4月)
猿田正祝「崇神記祭祀伝承考」(『國學院大學大学院紀要 文学研究科』21輯、1990年3月)
三浦佑之「境界としての〈坂〉」(『神話と歴史叙述』若草書房、1998年6月、初出1996年5月)
寺川真知夫「崇神天皇の大物主神祭祀―祭主(神主)の登場―」(『同志社国文学』61、2004年11月)

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