江戸時代中期の国学者・賀茂真淵による『万葉新採百首解』(京坂二書肆版)の翻刻テキスト。
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(跋文) こよひは月影いと清くこほろきしきりと啼ぬれは〔八一ウ〕 かの県居翁のこほろきのなくやあかたの我やとにの歌 なとひとり思ひ出られたる折から書肆の某此書を懐に して来りつゝいふこをおのれに校合せよとあるに やかて紐とき見もてゆくにいかに伝写の誤りけん一枚 をたにすみやかにはよみ得かたけれは其夜はかいやりて 次の日ことに二三本をもとめ得て比校なしぬれと いつれも猶いかにそやおほゆるふしもあれとさかしら そふへきにもあらねはかれこれを校へ合せてかへし 侍りぬ善本をもたらん人よく校したまひて月影の清 きか如なりなんをこほろきのこひぬと八月廿日の月かけに 向ひてはつかにしるす 藤原真彦(花押)