江戸時代中期の国学者・賀茂真淵による『万葉新採百首解』(京坂二書肆版)の翻刻テキスト。
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(第八二首) 巻之六 傷-《二》惜テ寧ナ楽ラノ京ノ荒ヲ《一》作ル歌【三首の中二首】 紅尓、深染西、情可母、寧楽乃京師尓、年之歴去倍吉(一〇四四)〔六五オ〕 くれなゐに、ふかくそみにしこゝろかも、ならのみやこにとしのへぬべき
聖武天皇、天平十二年に、山城の国久く迩にの郷さとへうつされて後の事也 たぐひなく調和したりし、奈良の都は心にしみてあればにや、かく あらざれて、今は何のにほひもあらぬを、尚こゝにわが世もへぬべくおも はるゝと也、紅にとは深く染てふ料にのみ置つらんも、所につけてよき冠辞也