江戸時代中期の国学者・賀茂真淵による『万葉新採百首解』(京坂二書肆版)の翻刻テキスト。
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(第三二首) 同し巻 夏 寄鳥 霍公鳥、来鳴五月之、短夜毛、独宿者、明不得毛(一九八一) ほとゝぎす、きなくさつきの、みじかよも、ひとりねぬれば、あかしかねつも
なが〳〵し夜も独かもねん、とよめるもさることなるに、短よも独ねぬるに、 あかしかねたるはたせち也、これをもとゝして長き夜もあふ人からに、 こともなく明るなどさま〳〵によみたれど、及ぶべきはあらず、且此上のこと ばのうるはしきを用ひて、古今集に、ほとゝぎす、鳴や五月の、あやめ草、 とよめるはさすがによろしかりけり○此四の句を後の集にひとりしぬれ は、と入たるはいよ〳〵詞のうつくしけれど、独と書たるに、しの助字 はそへがたし、かく略して書たるにことばをそへてよむは、此集の常 ながらはたことによるぞかし