江戸時代中期の国学者・賀茂真淵による『万葉新採百首解』(京坂二書肆版)の翻刻テキスト。
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(第四〇首) 巻之七 寄ル《レ》河ニ 広瀬川、袖衝計、淺乎也、心深目手、吾念有良武(一三八一)〔三二オ〕 ひろせがは、そてつくばかり、あさきをや、こゝろふかめて、わかもへるらん
川瀬をわたるにきたる袖の、やゝつくばかりなるはいと浅きに、我のみふ かめて思ふらんと自をとがむる也、集中に、とほつあふみ、いなさほそ江の、 みをづくし、我をたのめて、浅ましものを、とよめるに似たり○此五の句 をおもへるらん、といはておを略してもへるらん、とよめるは万葉にても、奈 良の朝に至りては二様によみたれど、略せるは古例なればなり、土佐日 記にすら、さる語の侍れば、猶その比までも、略してやいひけん○広瀬 川は天武紀に、祭大忌神於《二》広瀬河《一》曲見えてより、年々の祭史に有、 延喜式にも大和国広瀬郡広瀬神社とあり